2020/03/17

9th Album「SINGULARITY」オフィシャルインタビュー

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 あまり聞き慣れない言葉だが、「SINGULARITY」を辞書で引くと“特異性”と出てくる。人工知能の分野や未来学では“技術的特異点(Technological Singularity)”というふうにも使われる言葉で、平たく言えば「コンピュータが人間を越える時点」を指す。15周年イヤーの締めとして2018年7月に前作『MILESTONE』を発表し、これまでの足跡に1つ大きな道しるべを刻んだLead。それから2年。さらなる進化を遂げた3人は、本作『SINGULARITY』で、Leadを超えるLeadを実現した。
「『MILESTONE』でも一皮剥けた自分たちを見せられたと思うんですが、“もっと俺たちはやれるな”みたいな。それを2年間に感じて、個々のスキルアップや、Leadとしての音楽をさらに突き詰めて作りました。『SINGULARITY』というタイトルには、これが上限というより、ここから上限のさらに向こう側に行ってみようというくらいの気持ちを込めています」(鍵本輝)
 進化はまず彼らの歌声から感じられる。力強さ、太さ、まろやかさ、甘さ。歌の情感は驚くほど豊かになり、ときにはシャープな声で心を揺さぶり、ときには大人の色香が漂う声で酔わせる。
「ラップでも歌でも、最近は、言葉が入ってくるメロディー/歌い方をするアーティストをよく聞いちゃうんです。ただ歌うんじゃなくて、伝えることが大事だなと最近改めて思うようになりました」(古屋敬多)
「敬多と輝は舞台出演があると毎回、明らかに進化があるんです。僕もそれに刺激を受けますし、それぞれの変化が僕に変化をもたらしているところもあるんじゃないかと思います」(谷内伸也)
「個々のスキルアップと比例して選ぶ楽曲の難度も上がっているので、歌声の変化は楽曲に引き出されたのかもしれないです。あと、レコーディングのときにディレクターさんからOKが出ても、“もう1回やっていいですか”って言う場面が去年辺りからだいぶ増えました。自分が納得いくテイクを録りたいというこだわり。もう1個上にイケるんじゃないかっていう向上心が出てきましたね」(鍵本輝)
 本作を語る上で輝のサウンドメイクのスキルアップ/振り幅も特筆すべき点だ。「Just Love You〜青春白書〜」では幻想的なサウンドスケープで淡い恋愛感情を演出し、「ANTHEM」では開放感あふれる爽快EDMを創出。2015年の年末ライブで一度だけ披露された幻の楽曲「Ride On Music」では自分たちのルーツにあるブレイクビーツ/ディスコのエッセンスを注入したトラック作りで遊び心をみせる。さらに初回盤Bに収録された「Summer Vacation」のRemixも制作。前作に続いて、アルバムの幕開けを飾るイントロ曲も手掛け、その「Regularity://」では完全セルフ打ち込みで表情が次々に変わるダンスビートを制作。Lead史上最高の破壊力を持つ超攻撃的な次曲「シンギュラリティ」へと見事にバトンを繋いでみせる。
「アルバムタイトルは早い段階で決まっていたので、その前にプロローグ的な楽曲が欲しいなと。だったらREGULARITY=安定、規則性をぶち壊すサウンドがいいなと思って作りました。REGULARITYからSINGULARITYへの橋渡しというイメージ。URLみたいな「://」という表記を付けたのは、このアドレスの続きがあるよ、ここからSINGULARITYに続くぞ、というメッセージを込めたんです」(鍵本輝)
 本作から昨冬に先行公開された「サンセット・リフレイン」は、Leadが真骨頂を発揮するサマーチューン。「冬でもLeadは夏だぞ!っていうのをキーワードにして、夏サキドリみたいなイメージで進めていきました」(伸也)と語る通り、1日も早く夏が来て欲しくなる、爽やかなLead全開のナンバーだ。
 その「サンセット・リフレイン」との両A面シングルとなった「H I D E and S E E K」は、ミステリアスな雰囲気を持つナンバー。ニュージャックスウィングのハネたビートがスリルを掻き立てる。日本語で「かくれんぼ」を意味する「HIDE and SEEK」という言葉は、輝が日頃からアイデアを書き留めているメモにあったそうだ。
「かくれんぼのワクワクドキドキが、ちょっと怪しくてカッコいい、上から目線の感じがするこのサウンドにハマるんじゃないかと。恋愛の駆け引きというよりは、いろんな恋を経て、やっと俺は真実の恋を見つけることができたというストーリーにしたかったんです」(鍵本輝)
 「H I D E and S E E K」のMVは3人のダンスにフォーカスした内容。映像の色味はカラフルな「サンセット・リフレイン」とは対照的に黒を基調としていてモノトーンな印象に仕上がっている。だからこそ、ラストカットに現れる赤い指先にハッとさせられる。
「かくれんぼがテーマなので、遊んでる感じとか秘密基地みたいな感じが欲しくて倉庫で撮ったんです。影遊びをしているシーンもあって、シルエットで見せるのもダンスのより良い見せ方のひとつだなと思いました」(古屋敬多)
 既発シングルの「Be the NAKED」「Summer Vacation」の他には、ウィンターラブソングの「Milk Tea」や、伸也の友人でもあるDJ兼トラックメイカーのtossyがトラックメイクしたトロピカルハウス調の「Seasons」、敬多が「これはLeadで欲しい!と直感が働いた」というレイドバックしたシティポップ感が心地よい「MAGIC MAGIC MAGIC」を収録。その「MAGIC MAGIC MAGIC」の作詞作曲を担当した辻村有記とErik Lidbomが手掛けた「Depend On Me」は、3人全員が一聴して耳を奪われたという、アルバムの白眉といえる曲だ。
「トラックは、最近のUSポップスというか、普段僕たちが聞いている洋楽アプローチなんだけど、この美メロはなんだ?と。僕はそこに感動して、もう一目惚れでした。トラックとメロディーの化学反応がすごい」(鍵本輝)
「この曲で僕は息の使い方をかなり意識しました。歌声をちょっとウェットにした方がエモーショナルになるかなと思って、息多めの成分で歌ったボーカルを重ね録りしたんです」(古屋敬多)
「僕のラップパートは、結構言葉が詰まっていて滑舌的にも大変だったんですけど、なるべく語るような感じを意識してやりました。その方がこの曲の良さが伝わるかなと」(谷内伸也)
 タイトル曲「シンギュラリティ」で、“「今」を越えたいんだ”“と叫び、”自分の手でWake me”と繰り返した3人。これまでLeadが大事にしてきたものを守りつつ、各自が己のアビリティを伸ばし、それを結集させることで、さらなる高みをめざしていく。デビュー20年を目前にして、新たな覚醒を果たしたLead。Leadの未来を開くパスワードがここにある。
「シングルとアルバム曲のバランスがいいと思うし、全体を通して前回の『MILESTONE』より結構エモーショナルな曲が多いと思います。作家陣やエンジニアとも新たな出会いがあったし、すごく素敵なことがたくさん起こってできあがったアルバムなので、今後にも繋がっていきそうで気に入ってます」(古屋敬多)
「いい意味で1つのジャンルに縛られず、いろんなものを経験して、体現してきた集大成がここにあるのかなと。そういう意味でLeadらしい一枚になったと思っています。SINGULARITYと掲げていますが、これが最高点ということではなく、これを機に自身を越えたことによって、ここからもSINGULARITYを起こしていけたらなと思います」(谷内伸也)
「全体を通してちゃんとダンスミュージックになっているので、いろんな曲をやっているようで芯にはダンスというものがしっかりある一枚になりました。なので、ライブでやっていく中でいろんなパフォーマンスが見せられる一枚にもなっている。そういう意味でも、僕たちのSINGULARITYに期待して欲しいし、過去最高といえるアルバムができたなと思っています」(鍵本輝)

インタビュー・文/猪又 孝

「SINGULARITY」

2020年03月18日

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